こんにちは!この記事では、ネットワークの基礎中の基礎、「IPアドレス」と「サブネットマスク」について、できるだけわかりやすく丁寧に解説していきます。
この内容は、以前ご紹介したOSI参照モデルやTCP/IPモデルと深く関係しているポイントでもあります。
それらのモデルを学んだ方も、まだの方も、ぜひこの記事でIPアドレスがどう働いているかを押さえておきましょう!
👉 OSI参照モデルの解説記事はこちら
👉 TCP/IPモデルの解説記事はこちら
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IPアドレスとは?
IPアドレス(Internet Protocol Address)は、ネットワーク上の機器に割り当てられる「住所」のようなものです。これにより、機器同士が正しく通信できるようになります。
IPv4
- 32ビットで構成(8ビット×4ブロック)
- 例:
192.168.1.1
(10進数) - 内部では2進数で管理:
11000000.10101000.00000001.00000001
IPv6
- IPv4の枯渇を補うために登場した新しい規格
- 128ビット構成、より多くの機器に割り当て可能
- 例:
2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334
※この記事では、基本情報技術者試験で重要なIPv4を中心に解説します。
IPアドレスの構成:ネットワーク部とホスト部
IPアドレスは、「ネットワーク部」と「ホスト部」に分かれています。
- ネットワーク部:どのネットワークに属しているかを表します。ネットワーク部の値が異なれば、別々のネットワークに属しているということになります。
- ホスト部:そのネットワーク内での各機器を識別するための部分です。ホスト部のビット数が多いほど、1つのネットワーク内で多くの機器にIPアドレスを割り当てられます。
このネットワーク部とホスト部の境界を定めるのが「サブネットマスク」です。
IPアドレスのクラス分け(A / B / C)
IPv4では、アドレス空間の使用効率を考えた分類「クラス」があります。
クラス | アドレス範囲 | ネットワーク部の長さ | ホスト部の長さ | 割り当て可能なホスト数 |
---|---|---|---|---|
A | 1.0.0.0 ~ 126.255.255.255 | 8ビット | 24ビット | 約1677万台 |
B | 128.0.0.0 ~ 191.255.255.255 | 16ビット | 16ビット | 約6万5千台 |
C | 192.0.0.0 ~ 223.255.255.255 | 24ビット | 8ビット | 254台 |
※127.0.0.0 ~ 127.255.255.255 はループバック用に予約されています。
サブネットマスクとは?
サブネットマスクは、IPアドレスの中で「どこまでがネットワーク部か」を指定するための情報です。
◾ 表記例
- ドット表記:
255.255.255.0
- CIDR表記:
/24
(ネットワーク部が24ビット)
◾ 役割
- 同一ネットワークかどうかを判断するために使う
- ホスト数を適切に制限・分割できる
実際のサブネット計算例 例:192.168.10.0/26
- サブネットマスク:
255.255.255.192
(CIDR表記/26
) - ホスト部のビット数:32 – 26 = 6ビット
- アドレス数:2^6 = 64個
- 利用可能ホスト数:64 – 2 = 62台(ネットワーク & ブロードキャストを除く)
- 割り当て可能IPアドレス:
192.168.10.1
~192.168.10.62
- ネットワークアドレス:
192.168.10.0
- ブロードキャストアドレス:
192.168.10.63
ネットワークアドレスとブロードキャストアドレス
IPアドレスの中には、機器に割り当てできない特別なアドレスが2つあります。
ネットワークアドレス
- ネットワーク自体を表すアドレス
- ホスト部がすべて「0」
- 例:
192.168.1.0/24
では192.168.1.0
ブロードキャストアドレス
- 同一ネットワーク内の全機器にデータを送るときに使う
- ホスト部がすべて「1」
- 例:
192.168.1.0/24
では192.168.1.255
なぜ機器に割り当てられないのか?
- ネットワークアドレスは「このネット全体」の識別用
- ブロードキャストアドレスは「全体への通知」用途
どちらも特別な用途のため、個別の機器には使えない
グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレス
IPアドレスには、世界で一意の「グローバルIP」と、家庭内や企業内だけで使える「プライベートIP」があります。
種類 | 用途 | 主なアドレス範囲 |
グローバルIP | インターネット通信 | 割り当てられた全域 |
プライベートIP | ローカルネットワーク内 | 10.0.0.0/8、172.16.0.0/12、192.168.0.0/16 |
プライベートIPはどうやってインターネットと通信する?
プライベートIPアドレスはインターネット上で直接通信できないため、ルーターなどがNAT(Network Address Translation)を用いて、グローバルIPアドレスに変換して通信します。
◾ NATとNAPTの違い
- NAT(Network Address Translation):1つのプライベートIPと1つのグローバルIPを1対1で変換する方式。
- NAPT(Network Address and Port Translation):1つのグローバルIPで複数のプライベートIPを変換できる方式。ポート番号も使って区別するため、家庭用ルーターなどでよく使われています。
まとめ
以下のように、それぞれの概念はネットワーク通信において密接に関わり合っています。
- IPアドレス:ネットワーク上の機器を識別するための「住所」
- ネットワーク部 / ホスト部:IPアドレスの構造。どこのネットか、どの機器かを判別
- クラス(A/B/C):IPアドレスの分類と利用規模の違い
- サブネットマスク:ネットとホストの境界を定義。ネットワークの分割に使用
- ネットワーク / ブロードキャストアドレス:ネットの範囲と全体への通知用特別アドレス
- グローバル / プライベートIP:インターネット用かローカル用かの区別
お疲れさまでした!この記事を通して、IPアドレスの基本的な仕組みやネットワークの構造について、少しでも「なるほど!」と思っていただけたなら幸いです。
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