こんにちは、たけです。
今回は基本情報技術者試験でも頻出の超重要テーマ「システム構成要素」を、
はじめての人でもスッと理解できるように、徹底的にわかりやすく解説していきます。
特にこの分野は、意味が曖昧なままだと得点に結びつかない“用語地獄”になりがち。
でも大丈夫です! この記事を読み終えるころには、「あ、この言葉ってこういうことか!」と手応えがあるはずです。
ちなみに私が基本情報の勉強に使用している教材はこちらです。
図や例が豊富で、初心者にも本当にわかりやすかったです!
システムの利用形態:バッチ処理とリアルタイム処理
システムの利用形態には主に2つのタイプがあります。それが「バッチ処理」と「リアルタイム処理」です。それぞれの特徴や使用場面を理解することで、最適なシステム設計や運用が可能になります。
バッチ処理とは
バッチ処理とは、データを一定量まとめて一括で処理する方式です。例えば、給与計算や銀行の夜間振込処理などはバッチ処理の代表例です。
なぜ必要?
リアルタイム性を必要としない処理において、一度にまとめて処理することで、システム資源を効率よく使うことができます。処理時間帯を夜間などにずらすことで、日中の業務に影響を与えない利点もあります。
リアルタイム処理とは
リアルタイム処理は、データが発生したその場で即座に処理を行う方式です。ATMでの操作、電車の運行制御、在庫管理システムなどが該当します。
なぜ必要?
即時に情報を反映しないと意味がない場面において、リアルタイム処理はユーザー体験や安全性を守るために不可欠です。
まとめ表
処理形態 | 概要 | 使用例 | 特徴 |
---|---|---|---|
バッチ処理 | データをまとめて一括処理 | 給与計算、夜間振込 | 効率的、タイムラグあり |
リアルタイム処理 | 即座に処理 | ATM、在庫管理 | 即応性、処理コスト高め |
システムの処理形態:集中処理と分散処理
システムの処理形態にも主に2つのタイプがあります。それが「集中処理」と「分散処理」です。それぞれ特性や向いている場面が異なります。
集中処理とは
集中処理は、すべての処理を1台の大型コンピュータ(ホスト)で行う方式です。かつて多くの企業で採用されていた形式です。
なぜ必要?
データを一元的に管理できるため、セキュリティやバックアップがしやすいという利点があります。
分散処理とは
分散処理は、処理を複数のコンピュータに分けて同時に実行する方式です。クラウドコンピューティングなど現代的なシステムで主流です。
なぜ必要?
処理の負荷を分散し、障害発生時のリスクを下げることができます。拡張性も高く、大規模システムに適しています。
まとめ表
処理形態 | 概要 | メリット | デメリット |
集中処理 | 単一のホストで全処理 | 管理が簡単、安全性高い | 障害時の影響大、拡張性なし |
分散処理 | 複数で処理を分担 | 負荷分散、拡張性◎ | 複雑で管理が大変 |
クライアントサーバシステム
現代のITシステムの多くは、「クライアント(利用者側)」と「サーバ(提供者側)」の役割分担によって構成されています。この方式は、通信や処理の効率化を図るための基礎的なアーキテクチャです。
クライアントサーバ方式とは
クライアントサーバ方式は、利用者側の端末(クライアント)が処理要求を出し、サービス提供側のコンピュータ(サーバ)がそれに応じる構成です。
なぜ必要?
役割分担を明確にすることで、システムの効率化・拡張性を高めることができます。また、サーバを強化することで全体のパフォーマンスを改善できます。
主な種類と役割
- ファイルサーバ型:クライアントはファイルを開くだけで、実際の保存や管理はサーバが行う。
- データベースサーバ型:クライアントはDBにクエリを送信し、サーバがデータを抽出。
- Webサーバ型:HTTPリクエストに応じてページを返す。Webサイトの基本構成。
まとめ表
サーバの種類 | 説明 | 使用例 |
ファイルサーバ | ファイルを一元管理 | 社内共有フォルダ |
DBサーバ | データベースとのやり取りを担う | ECサイトの検索機能 |
Webサーバ | Webページを配信 | ブログ、SNS |
シンクライアント
システム構成の中でも、セキュリティや管理のしやすさを重視する場面で登場するのが「シンクライアント」です。これは近年の仮想化技術の発展に伴い、企業や学校などでよく導入されています。
シンクライアントとは
シンクライアントは、「Thin(薄い)」という言葉が示す通り、クライアント側では最低限の処理しか行わず、実際の計算や保存はすべてサーバ側で行うシステムです。
なぜ必要?
セキュリティ面で強く、クライアント端末にデータを残さないため、情報漏洩のリスクが低減されます。また、端末の管理コストが抑えられるため、企業や教育機関でよく利用されます。
まとめ表
項目 | 内容 |
特徴 | クライアントは処理しない、サーバ集中型 |
メリット | セキュリティ高、管理が楽 |
デメリット | ネットやサーバに依存する |
使用例 | 学校PC、仮想デスクトップ(VDI) |
システムの二重化:デュアルシステムとデュプレックスシステム
重要なシステムにおいて、万が一の故障でも動き続けるための工夫が「システムの二重化」です。冗長性を持たせることで、停止時間を最小限に抑えるための設計となっています。
デュアルシステムとは
デュアルシステムとは、2台のシステムが同時に同じ処理を実行する方式です。並列に動かすことで、片方に障害が発生してももう片方で継続できます。
なぜ必要?
高信頼性が求められる場面(銀行、交通制御など)で使われ、安全性を確保することができます。障害検知にも有効で、冗長性によって止まらないシステムを実現します。
デュプレックスシステムとは
デュプレックスシステムは、1台が通常稼働し、もう1台が待機状態にある構成です。障害発生時に待機系へ切り替えて処理を継続します。
なぜ必要?
デュアルシステムほどのコストはかけられないが、障害時の対応は必要な場面(業務サーバなど)において有効です。
まとめ表
方式 | 概要 | 特徴 | 使用例 |
---|---|---|---|
デュアルシステム | 両方が同時に動作 | 高信頼、障害検出可能 | 銀行、航空管制など |
デュプレックスシステム | 一方は待機 | コスト抑制、切替式 | 企業システム、業務サーバ |
データのバックアップ:フル・差分・増分
重要なデータを万が一の障害やトラブルから守るためには、定期的なバックアップが不可欠です。バックアップの方法にはいくつかの種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。使い分けを理解することが安全な運用に繋がります。
フルバックアップとは
全データをまるごとコピーする方式です。
なぜ必要?
バックアップ対象のすべてが揃っているので、障害時にこれだけで完全に復元できます。
差分バックアップとは
最後のフルバックアップ以降に変更のあったデータだけを保存する方式です。
なぜ必要?
復元時に必要なファイルが少なく、比較的早く復元できます。
増分バックアップとは
直前のバックアップからの変更分のみを保存します。
なぜ必要?
保存する容量が少なく済みます。ただし、復元時はすべての増分を順に適用する必要があります。
まとめ表
種類 | 保存内容 | 復元に必要なもの | 特徴 |
フル | 全部 | これ1つでOK | 容量多・復元速い |
差分 | フル以降の変更 | フル+最新差分 | 容量中・復元速い |
増分 | 直前との差分 | フル+全ての増分 | 容量少・復元手間多 |
バスタブ曲線
バスタブ曲線とは、製品の故障率を時間の経過に沿って示したグラフです。形がバスタブのような曲線になることからこの名前がついています。
構成と意味
- 初期故障期:製造ミスや初期不良によるトラブルが多い時期
- 偶発故障期:安定稼働し、故障率が低い期間
- 摩耗故障期:経年劣化により故障率が上昇する終盤期
なぜ必要?
保守や交換の時期を見極めるための指標として活用されます。特に初期や摩耗期に対して適切な対応をすることで、システムの安定運用が可能になります。
システムの性能評価
システムがどれだけ速く、安定して、効率的に動作するかを測るための指標が「性能評価」です。基本情報技術者試験でもよく出題されるこの分野では、代表的な3つの評価項目をしっかり理解しておくことが大切です。
スループット
スループットとは単位時間あたりに処理できる仕事量を表します。
なぜ必要?
システムの処理能力を定量的に評価するための指標であり、業務の効率性に直結します。
レスポンスタイム
レスポンスタイムとは要求に対して結果が返るまでの時間です。
なぜ必要?
ユーザー体感に直結するため、使いやすさ・満足度の面で重要です。
ターンアラウンドタイム
ターンアラウンドタイムとはジョブを投入してから完了するまでの全体の時間です。
なぜ必要?
バッチ処理などにおいて、業務終了までの時間の目安になります。
ベンチマークテストとは
コンピュータの性能を評価・比較するために、標準的な処理を実行して数値化するテストです。
なぜ必要?
客観的に性能差を比較することで、導入機器やサービス選定の判断材料になります。
システムの評価性能(RASIS)
RASISは、システムの品質評価に使われる5つの観点を表します。
各項目の意味と役割
- 信頼性(Reliability):壊れにくさ
- 可用性(Availability):使える時間の長さ
- 保守性(Serviceability):修理・点検のしやすさ
- 保全性(Integrity):データの正確性や整合性
- 安全性(Security):不正アクセスや攻撃への耐性
なぜ必要?
システム運用時に求められるバランスや重要性の高い要素を網羅しており、設計や評価に不可欠です。
MTBF・MTTRと稼働率
システムの「止まりにくさ」「直りやすさ」を数値として表したものがMTBFとMTTRです。これらは稼働率の計算にも使われ、信頼性評価の重要な指標になります。
MTBF(平均故障間隔)とは
MTBF(Mean Time Between Failures)とは、システムが一度故障してから修復され、再び故障するまでの平均稼働時間を意味します。簡単に言うと、「一度直ったあとの“次に壊れるまでの時間”の平均」と考えるとイメージしやすいです。
なぜ必要?
MTBFが長ければ長いほど、システムは故障しにくく信頼性が高いと評価されます。特に医療機器や金融システムのように、止まってはいけない機器にとって重要な指標です。
→ MTBFは長いほど良い(=壊れにくい)
MTTR(平均修復時間)とは
MTTR(Mean Time To Repair)とは、システムが故障してから修理して正常に戻るまでにかかる平均時間を示します。つまり、「故障から復旧までにどれくらい時間がかかるか」という視点です。
なぜ必要?
復旧に時間がかかればかかるほど、業務の停止時間も長くなります。したがって、MTTRは短いほど迅速な回復が可能で、サービスの継続性を保てます。
→ MTTRは短いほど良い(=早く復旧できる)
稼働率の計算式
稼働率は「どれだけシステムが止まらずに稼働していたか」を示す指標です。以下の式で求められます。
稼働率 = MTBF / (MTBF + MTTR)
例:MTBFが100時間、MTTRが5時間であれば、稼働率は以下のように求まります。
稼働率 = 100 / (100 + 5) = 100 / 105 ≈ 0.952 ⇒ 95.2%
システム構成別の稼働率:直列システム・並列システム
直列システム
直列システムでは、すべての装置が直列に接続されており、どれか1つでも停止するとシステム全体が停止してしまいます。
- 計算方法:全体の稼働率 = 各装置の稼働率を掛け算
- 例:装置A(稼働率0.98)、装置B(0.95)、装置C(0.99)の場合
0.98×0.95×0.99=0.92169⇒約92.2%
- 例:装置A(稼働率0.98)、装置B(0.95)、装置C(0.99)の場合
→ 一つ一つの稼働率が高くても、組み合わせると全体の稼働率は意外と下がってしまいます。
並列システム
並列システムでは、複数の装置が同時に稼働していて、1つでも動いていればシステムは動作し続けます。
- 計算方法:全体が停止する確率 = 各装置の「停止する確率」の掛け算 → 1から引いて稼働率を求める
- 例:装置A(稼働率0.9 → 停止確率0.1)、装置B(稼働率0.8 → 停止確率0.2)の場合
停止確率=0.1×0.2=0.02
稼働率=1−0.02=0.98⇒98%
- 例:装置A(稼働率0.9 → 停止確率0.1)、装置B(稼働率0.8 → 停止確率0.2)の場合
→ どちらかが生きていればOKなので、全体として高い稼働率を確保しやすいのが特徴です。
システムの信頼性設計
信頼性の高いシステムを作るためには、障害に「強くする」または「起きにくくする」という2つのアプローチが基本になります。この考え方を知ることで、より堅牢なシステム設計が可能になります。
フォールトトレランス
障害が起きてもシステムが継続して動けるように設計する考え方です。
なぜ必要?
止められないシステム(医療、金融など)では、万が一の障害に備える必要があります。
フォールトアボイダンス
そもそも故障が起きないように、設計段階で不良の原因を排除する方法です。
なぜ必要?
障害を起こさせないことで、より高い信頼性と安定性を実現します。
安全設計の3原則
人命や機器、データを守るための「安全設計」の考え方が3つのFです。万が一のミスや故障が起きたときでも、被害を最小限に抑える工夫をあらかじめ組み込むのが現代の設計の基本です。
フェールセーフ
障害が発生した際に、安全な状態でシステムが停止または制御される設計です。
例:信号機が故障したら赤になる など
フェールソフト
障害が発生しても、機能の一部を制限してシステムを継続させる考え方です。
例:CPUの一部が壊れても残りで処理を続ける冗長設計 など
フールプルーフ
人間のミス(操作ミス)をしても、事故につながらないようにする設計です。
例:電源コードを正しくしか差せない設計、安全カバー付きのスイッチなど
まとめ
この記事では、基本情報技術者試験に出題される「システム構成要素」のすべての重要項目について、意味や役割などを丁寧に解説してきました。
それぞれの用語や概念がなぜ必要なのか、どんな場面で使われるのかを理解することで、単なる暗記ではなく本質的な理解ができるようになります。ぜひこの知識を活かして、試験本番で確実に得点につなげてください!
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